凍える庭

好きな人の姿をじっと見続けてしまうときの気分は、動物を見ているときよりも、雪の降る庭を眺めているときに似ている。私もそれなりにルッキズムに翻弄されて生きてきたから、もういい加減そういった既存の差別意識に取り込まれたくないという気分があるのだけど、それでもなお人を綺麗だと思うことがある。そういうとき、どんな言葉にしたら相手や自分を傷つけずに済むのか、今もまだ考えあぐねている。人のことを美しいと感じることは、おそらく誰よりも自分への救いになっている。ただ同じ動物だというだけなのに、それが誇らしく、同時に後ろめたい。

連日、こまかい雪が降っている。陽が射せば溶けて消えるくらいの、まだやわらかい雪だ。寒いところに薄着でいれば凍えてしまう。でも大きさの異なる真っ白な塊が延々と降っているのを見ると癒される。自分と関係のないところで、風景が変わっていく不思議。理不尽。目がそういうものを必要としている。