2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

たとえばちいさな白い紙のように

窓ほどもある、おおきな白い紙を、無心で名刺サイズに切り続けていたら、すこしだけ透明なきもちになれた。ゴツゴツしたカッターで切った、白い紙の、やや盛りあがった輪郭。直線はうつくしい。切ってしまったということの、このどうにもならなさが、たまら…

ゆるいしあわせ

なにか口にいれたいけど、ちょうどいいものが何も無い。グミとか、小さいカップラーメンとか、何か買っておけばよかった。いつも、そのときのきもちにぴったりする量しか買わないから、すこし足りなくなってしまう。 社長にたてついた結果、報復のようなクビ…

コールドスリープ

注いだばかりのオレンジジュースがぬるかったので、冷蔵庫が壊れていることに気づいた。いつから壊れていたんだろう。そういえば、このところよく唸っていたような気がする。冷凍庫はまだ動くから、冷凍食品だけで暮らそうかな、もう。あーでも、冷凍食品っ…

あなただけが地獄の入り口

年上女性の笑い皺が好きなんだけど、原田知世以外にも宮沢りえとか、いいよねー。皺のつきかたまでおしゃれで、憧れる。でもそういう人って少数派かな。私はきっと、最強のおばあちゃんになれると思うけどな。「若くてかわいい」そう言われるたびに、いつか…

チーズと牛乳とたまご

部屋の蛍光灯が点滅している。おかしいな、ちょっと前に交換したのに……。調べたら、点灯管というものを付け替えれば直るらしい。めんどくさいな。もう1こ間接照明あるし、これでいいかな。ほの暗いオレンジの灯りで、逆にいい暮らし感が出るし。あっ。前に…

また、人の傘に入って帰ってきてしまった。見慣れないピンク色の折り畳み傘が、台所にあって、そこだけちょっと明るいような気がする。私は傘をよく忘れる。この前も雨の予報の日に、「あー、傘、ないんですよね」職場で先輩にそう言うと、「貸そうか?」と…