2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

誰も知らない場所に行きたい

夜の街もきみとならずっと歩いていたいと思ったそれだけさそれだけで充分さきみが明日の授業を次はどうやってサボるか 考えるころ僕はリュックサックひとつで訪ねるんだ逃げちまおうぜどうせ誰も追ってこないさどうせ誰も覚えていないさそれならほら逃げちま…

あの森の名前

雑誌の整理をしようとしてうずくまったら、風がふいて動けなくなった。見るとちょうど窓の隙間から、サボテンを通りぬけて、わたしのところに風がやってきていた。そういうちょっとしたきっかけで、わたしの体がするするとほどけていくのがわかる。うつくし…

どれでも、好きなものを選んでいいよ

目の奥がじんわりと痛い。肩から背中にかけてがじっとりと熱いのに、指先だけやけに冷たい。昨日から体が重くて気だるかったのだけど、ずっと眠っているだけで休日が終わってしまうのもどうも味気ないからと、出かけることにする。「見に行きますね」と言っ…

即興音楽

中学生のクリスマスにもらったラジカセを、今でもつかっている。たまに音楽を聴くのだけど、その灰色の機械は、早送りができない。ひとつ、ふたつくらいなら曲を飛ばせるけれど、むっつめくらいになると勝手に曲をリミックスして流してくる。戯れに、あちこ…

動機はいつもやましい

夜がやわらかく思えるようになったのはいつからだろうか。今日は月も霞がかっていて優しい。初夏はもう、夕方だけ起きていられればいいくらいだ。夕陽の時間ってどうしてこんなに短いんだろう。金木犀を通過した光が小間切れになって磨りガラスに浮かんでい…

平和と暴力

1階から4階までをぶちぬく長いエスカレーターに乗っていたら、急に田舎のイオンモールで、何がほしいのかわからくなって立ちすくんでいた、十年前の自分がよみがえった。田舎のイオンモール。とりあえず広くて、ショップスタッフの不自然にやさしい声がず…

ハレの日

肌にじっとりとのしかかってくるくる湿気は、もう夏の予感そのもので、疲れきったように目を細める。早く梅雨にならないかなあって職場で言ったら驚かれた。梅雨が好きなの? 雨が得意なんです。えー? あはは。職場では、1万円ぶんの100円玉を数えたり、カ…