2015-01-01から1年間の記事一覧

仕返しのクッキー

喫茶店でケーキセットを食べたが、鞄のなかに財布がない。やってしまった。久々に、やらかしてしまった。会計でボソボソと事情を説明し、笑われる。「財布をとってきます。なにか荷物を置いていくので、信じて待っていてもらえませんか…。」「いいわよ!」「…

ロジック

なんとか高速バスのチケットをとった。葛藤していた。しかし友人や先輩とメールのやりとりをするうちにきもちが軽くなり、夜がやさしく思える。クリスマスの満月がとても綺麗で、すべてがうまくいきそうだと思った。会いたい人がいるので年末年始にむこうへ…

何故かなしいのか教えてくれよ

あえて夜のコンビニに行く。チョコが食べたいとか、雑誌を立ち読みしたいとか、口実はいろいろあるけど、たぶんちょっと自分を痛めつけたいだけで。ピアスはひとつもあいてないし、飲酒も喫煙もしない。というか、できない。非行をやれない人間は、どうやっ…

しあわせかい

お客の入らないカレー屋で、経済効果のない話を5時間あまり、えんえんとし続けて楽しかった。大学3年生のころのことを思い出した。あのころも今も、3年後の自分がうまく思い描けない。それが最高だし、こんな風に卒業してからも先生と友人とカレーを食べ…

あかるい世界

朝、吐いた息がしろくて、たまらなくなった。キンと全身にしみわたる寒さを、押し出すようにして吐く、このふうわりとした白さを、どうしようもなく好きだ。このしゅんかんを、いったいどうやってとっておけばいいのかわからない。ただ冷たい風。まぶしさに…

カレンダー

部屋に世界地図を貼った。本屋さんでもらったのだ。レジで「世界地図と路線図、どっちがいいですか?」と聞かれて、わくわくしてしまった。よくよく思い返せば、路線図のほうが実用的なのだけど、せかいちず、という響きに反射的に惹かれてしまったのだ。来…

他人の君

もう他人になってしまったかもしれない、いつか、自分をすきだと言ってくれた人たちのことを考えてみる。たくさんの、表情や言葉のことを、忘れてしまわないうちに、指先で撫でるように引っかけ、拾いあつめてみる。いつも、居心地のわるそうな笑顔で、受け…

5時

霧につつまれていたいから今日は学校 サボってロンドン 行こうかとか 思っていたあの朝の霧とこれはおんなじ霧だと思う 眠るためではなく見たものを覚えるため 瞼をおろすときの厳粛なスローモーションにも似た夕方の けはい一生のうちでかぎられた数少ない …

あたらしい音楽

カーキ色のコートに袖を通す。なんだか軍服みたいで似合わないな。そういう服を着るのも、たまにはいいけど。なんとなく、反抗的なきもちだ。休日の夜は漢字練習を2ページもできるので安らいでいる。勉強中に流す音楽はいつもクラシックにしていたのだけど…

ひとかたまりの毛糸

赤いセーターのほつれをすこしずつ、すこしずつほどいていくような一年だったかもしれない。ふとした夜、ぱらぱらと降る秋の雨を見つめながらそう思った。一着のセーターを台無しにしても、セーターが何からできているのか、一本の線になったとき、赤色がど…

事件じゃない

今日は一年越しの約束を果たせてよかった。やっと、学生の子に本を渡せた。すごく待たせてしまったのに、ほんとうにニコニコと受けとってくれて、言葉をつくして「うれしい」と言ってくれて、よかった。彼女達も何かをつくっているからだろうか、やさしいな…

半透明

仕事で梨を20個むいた。むいてもむいても終わらなくてびっくりした。ちょっとしたドッキリだったんだけど、たのしい時間だったな。すごく喜んでくれたらしいんだけど、パーティーの場に残れなくて、あれ?終わったのか、とすこし寂しくなったり。みんなが…

石の味

今週のお題「愛用しているもの」 寝る前に石を転がして遊んでいる。ホタル石や瑪瑙、名前を忘れた、ひかりの加減で光る石たち。鉱石が好きだ。アクセサリーショップで売っている、指輪についた小さな石、何カラットだか知らないそれよりも、随分と安上がりで…

望まれたからさ

きのう、大学構内を友人とふらついた。芸祭だった。わたしはまだスタッフとして大学にいるけど、自分が出展していない、学生として在籍していない芸祭は、ひさしぶりに会う親戚のようで、すこしよそよそしかった。昨年までは、上手な展示や洒落たフリーマー…

できうるかぎりのあたたかい食事

就職(転職?)活動をしなくてはいけないが、なりたい職業がひとつもない。もはや愛着さえ持てればなにをしたっていいのだが、インターネットで求人情報というものを眺めても、人の顔が見えてこないので区別がつかない。なんでこんなくじ引きみたいな感じで…

夕焼けのにおい

ケムリのにおいが街に充満していて、朝なのに夕暮れみたいな気持ちになった。秋独特のこのにおいのことを、夕焼けのにおいなのかもしれないって、ずっと思っていたな。喉が痛い。かなしみのせいかもしれない。でも、仕事に行って、おはようございますという…

土に還ることのないものばかりお好きですね

大学には竹で造形をする授業があって、ここのところ毎日遅くまで竹を叩く音が聴こえる。夜には芝生でお鍋をしている。今日はそこにお邪魔して、あったかい煮物を、竹のうつわで食べた。くたびれていて、おしゃべりができなかったのが心残り。でもおいしかっ…

のみこまれたまま

のみ会に行ったら緊張したせいか眠れない。明日仕事なのにな。こんなときは体のまんなかを走っている一本の汽車のことを考える。よくわからないけどピカピカ光っていて綺麗だ。けむりもすごく出る。わたしの肌ぜんたいが大きな線路になって開かれている。ど…

睡眠

不眠症じゃないのだけど、寝つきが悪くて困ってる。寝返りを5回ほどうったらもうだめで、道路を通る車の音なんて聞いてしまう。もちろん、その前には何かそのとき好きな音楽を聴いてるんだよ。昔はロックを聴いてすやすや寝てたな。もう音楽を聴いても中学…

草原にいる優しい人

あなたは知らないだろうけど、世界の真ん中は山でも海でもなくって草原なんだ。そこにはいつもそよ風が吹いていて、太陽がまぶしくも暗くもないまま照っている。永遠の午後だ。そこに待たせている人がいる。あの後ろ姿を振り向かせたい。ただ声を出すことが…

こんな家、燃やして

色なのか輪郭なのか動きなのか、もう何がなんだかわからなくなるくらいまぶしいものが見たい。けどそれがなんなのかわからなくって、説明がつかない。風がふかない。だから体が動かない。なんだろうのどの奥が、重くて速くてとても熱い。頭が秋に追いつけな…

モネと同じ朝

モネの印象・日の出は、「日の出」と題されているにも関わらず、ずっと夕陽だと思っていた。あのぼんやりとした赤色を、日の出として見れないのは、日本の朝しか知らないせいなんだろうか。そもそも、日の出ということばにあまり親しみがもてないのかもしれ…

昨日の夕立になりたくてどこにも行けない

漢字練習が趣味になってしまった。もうかれこれ1ヶ月、ほぼ毎日続いている。趣味がなくて、どうせなら勉強になることをしようかなと思ってはじめたのだけど、ほんとうに日課になってしまうとは思わなかった。本気で漢字検定を受けようかと考えている。1年…

憂鬱

学生のころ、論理学という講義をとっていた。勉強したくなくて、テストを受けるかわりに絵を提出したことがある。単位をひとつ落としたなと思いながら、ダメもとで提出したら、単位がとれていたうえ、評価が優だった。美大の先生達は、寛容だなと思った。た…

地平線がほしい

夏休みが明けて、ひさしぶりに会った先生に写真詩集を貸してもらった。夏休み前の約束だった。その先生は、他の助手さんのお手伝いで、夏休み中に土を掘ったり、学生を実家に呼んで合宿のようなこともしていたらしい。このごろ人との約束を破ってばかりいた…

ブルーショック

夜20時半過ぎにインターフォンが鳴った。不審者かと思って警戒した。佐川急便だった。差出人が弟なので、何かと思って開けたら、リボンのかかった箱が入っている。その箱のなかには、ガラスペンと青いインクが入っていて、手紙に「誕生日おめでとう」と書…

眇めても見えない

「富士山、見える?」と道中、車内で聞かれ、「霧がかかっているからね、てっぺんひとつ見えないよ」と答えたら、「ふーっと吹いて」と言われた。わたしが神さまだったらねえ、としょうがなく笑った。わたしは母のこういうところが好きだ。なんでそんな話に…

だらしないだけ

気候が不安定なのか、息がつづかない。横になって、これから先、自分にできることを考えていた。いや、ほんとうは音楽を聴いたり漫画を読んだりしていたのだけど。まあ、ぼんやりしていたということだ。 「ロビノー君、人生に解決法なんかないのだよ。 人生…

もしもなにかを一つお願いしていいなら

今日いっしょに飲んだ人たち、みんなしあわせにならないかな。 前倒しで誕生日を祝ってもらった。メンバーは哲学の先生と心理学の先生と油絵科の友人。わたしはデザイン科で詩を書いてる人だから…なんか肩書きだけだとあやしいな。こういうことが前にもあっ…

わたしたいわたし

けっきょくのところ、宛先のない手紙を書いてしまう。ひとりの時計はあてどなさすぎて、何もしないと秒針が止まって見える。でも何から手をつけていいのかわからない。ピアノを弾きたいわたし。詩を書きたいわたし。剣道をやりたいわたし。たくさんのわたし…