2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

どれでもよかった

実家から新米が届くのが待てなくてゆめぴりかを買った。おいしい。ふかふかだ。やっぱり生きるのに必要なのは白米。あとお湯と日光。これだけあればいいんだということを、わたしはこれから何度も何度も何度も綺麗に忘れるんだろうな。白い封筒を一通郵便局…

気晴らし

美容院に行った帰りに、公園のベンチでメロンパンを食べていた。ぼーっと池をながめていたら、ふいに隣りに誰か座った。白いパーカーを着た男性だった。やけに香ばしい匂いがするなと思い横目に見たら、ピザを1枚食べている。箱ごと、ひざの上に広げて。思…

眠気

かなしみが抜けていかないので、遅出にも関わらずスーパーに行き煮物をつくった。料理をするのは好きでも嫌いでもないけど、淡々と野菜を切ってじゃんじゃん鍋で煮こむのは気晴らしになっていい。食べれるしね。なぐさめてほしいわけじゃないのに、ふとした…

タコ

指先でつめたい空気をさわって帰る夜道は、「もう秋です」って断言しているね。こごえそうでこごえない、寒さがここちよくって両手が泳ぐ。深夜の道路。ふいに、末の弟が、告別式に向かうマイクロバスのなかで、「さわってみて」って差し出した左手の指先の…

勝手にあきらめたりなんかするなよ。

じゃぶじゃぶに砂糖をいれてかきまぜたばかりのコーヒーみたいな甘ったれた気分だよちょっと話をしたいだけで頼んだ飲みものはいつも 黒さをもてあましている悪いねきみの思いえがいている夢のどこに自分を歩かせたらいいのか思いあぐねてもいつも何ひとつ …

ためらうような夜がかなしい

祖母の葬儀のために長野に帰省した。急いで職場に連絡をして、休ませてもらった。ふしぎと心は落ちついていた。実は、通夜で父や弟が声をあげて泣くのをはじめて見るようなきもちで見ていた、わたしは何が起きたのかすら、まだよくわかっていないのかもしれ…

ガードポール

朝がまぶしい。秋のひかりだと思うのに目が痛くて。かなわない。本来の出勤時間より早めに行って、ドトールでコーヒーでも飲もうと思ってたんだけど、駅についたときに鞄を見たら、財布が入ってなかった。焦った。Suicaの残高は200円。帰ることすらできない…

友人

あなたが 「もう疲れたよ」と言うかわりに一つきり 砂のような溜め息をついたのでわたしは今夜 やむにやまれず西と東の窓を開け部屋が水色に変わるのを見ているのかもしれません捨てるものと捨てられないものとで構成されたこの部屋のむこうでゆれる金木犀と…

遠くばかり見ていた

窓辺に咲いたキンモクセイが綺麗で、洗濯物を干そうとするたび手がとまる。それにしても、東京にはこの花がとてもたくさん、咲いているね。長野にいたころには気づかなかった。山と田んぼばかり見ていた。この花の名前を知ったのは中学生のころの、音楽の時…