パンを買いに

近所のパン屋さんに行くために早起きをした。毎週月曜日は休日で、よく行っていたパン屋だった。秋になって閉店時間が早まって以来、行けていなかった。早まる前も、行くたびに「もうこれしか残ってないんですけど」と申し訳なさそうにされた。休日は目が覚めるまでに時間がかかるから、今日7時にパッチリと目が覚めたことに逆に動揺した。

いつも丸い、ジャムもあんこも挟まっていない、一番シンプルな小さなパンを好んで買っていた。以前手作りの肉まんをくれた知人が、よく「総菜パンのパンは味がしないパンだから嫌」と言っていたけど、たしかに、自家酵母のパンは「味がする」と思う。だからこれは教えてもらった味覚なのだ。はじめて見る、チョコレートの入ったパンと、いつものパンを買って帰る。チョコもゴロゴロ入っているけど、生地がかためで、もちもちとしていて、とてもおいしかった。

お会計を担当してくれるお姉さんとは、なんとなく気が合うような感じがするので、つい普通よりも話しかけてしまう。そういえばクーポンのくじ引きで大吉を当てたときも、いっしょになってはしゃいでくれた。今度私がお手伝いしているカレー屋に来てくれるという。ふしぎだ。

お店っていいなあ。現実って頼りないけど、がんばったらもっとおもしろいのかもしれない。