2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧
数えきれないくらいたくさんのお菓子と花束をもらって、ほろ酔いで帰る。今日が最終出勤日で、はじめて上司と先輩と3人でお酒を飲んだ日だった。紙袋いっぱいに詰まったプレゼントを見て、「クリスマスみたい」と言ったのは先輩の声。まっすぐすぎる帰り道…
黒い傘を持っていてよかったと思うのは、機嫌が悪いときだ。梅雨だけど、まともな傘を1本しか持っていないので、コンビニで買った折り畳み傘を毎日かわかして使っている。雨はどちらかというと好きなのだが、低気圧で体調が悪いのが困る。私はいつも、体調…
夕方、公園の近くを歩いていたときのことだ。バスケットボールが落ちていた。ふと左上を見上げると、目より高い位置に、水色のスニーカーが見える。生け垣の向こうの柵を、小学生らしき少年がよじ登ろうとしているところだった。反射的にボールをもつと、こ…
そうは言っても形にすることを生業としているので、毎日ピンセットで活字をつまむ。紙を出し、箔押し機のハンドルを回し、なんてことないアルファベットの煌めきを、120℃の熱を借りて印刷する。この指先への、抵抗を愛している。なんの意味もないのに、光っ…
人に喋ってすっきりしたことは、大体うまくはいかないので、ほんとうに叶えたいことは黙っていないといけないのかもしれない。雨音がトトトトと続いていて、いい音楽だ。この部屋で迎える梅雨はそれほど悪くないかもしれないと思い直す。古い部屋を借りてい…
私のことを好きだと言ってくれる人々にその理由を聞いて回り、ひとしきり否定したい。そんな帰り道がたまにあり、今夜がたまたまそれである。せめてヒステリーくらいヒステリックに起こしたいものだが、結局しないので、0時を以てヒステリー未遂となる。 夜…