知らない店の知らないあなた

祝日。おいしいけどスカスカな気持ちになるハンバーガーショップに行ってしまった。何が悪いと言えばインテリアが中途半端に洒落ていたことくらい。インテリアってやっぱり大事というか、インテリアがいちばん大事なのなもしれない、自分は。

 

お店に行くと自分が存在してることを思い出す。店員さんへの挨拶やらなんやら。椅子の硬さと自分の肉体との押し合いへし合い。そういったことは概ね目を覚ましてくれる有り難いものなのだけれど、ただの違和感になって終わることも多い。たとえば、特別なことが何も行われていない空間にいるとなぜか居心地が悪い。機嫌の悪い子どもが静かに母親と食事をしている横にいるよりは、機嫌のいいカップルがパスタを取り分けて食べているほうがよい。友人らしき2人が今後の未来について大きな夢を語り合っていれば、なお良い。明るすぎるよりは薄暗い店でぼんやりと、他人の人生についての脚色された話が聞きたい。そういうのは大抵、かしこまった店のひとり客がもてる特権である。

 

もうすぐ叶うだろうか。知らない店に行くだけではなく、人が嬉しそうに無責任な野望について話すところを見たいと思う。