ポーズ

帰省したとき、家族と初詣に行けなかったので、ひとりで浅草寺まで行ったのだけど、さみしすぎて死ぬかと思った。初詣というのは、人と行くからいいのだな。というより、人とできることの一つとして、初詣がすきだったのだ、きっと。人混みが過ぎて、しばしば仲見世通りの塊はもぞもぞと停止。その度に漏れ聞こえてくる人の声が、「混んでるねー」「神様とかそこまで信じてないけど」「舟和のイモ羊羹食べれればいいかな」なんて、似たようなことを喋ってる。そうだった。私達は自分のことすら切実に祈ってなんかいないのだ。そうやってぐずぐずになっていく感情をこの手で締めあげたくて、五円玉を握りしめたけど、人混みに水を差されるばかりだ。着物姿の可愛い女の子に写真を撮ってほしいと頼まれて撮ったりなんかもして、その子たちの笑顔はほんとうに素敵だったんだけど、そのスマホケースの分厚さのぶんだけ心が遠くに行ってしまうみたい。

そんな風にぼんやりと、心が固まったり和らいだりをくりかえしている。今年は自分のどこかを壊してでもいいから、何かをつかみたい。ちなみに、おみくじを引いたら凶だった。