この静けさには安心がない

最近の日記を読み返したら「疲れた」とばかり書いてあって、すこし情けなくなった。きょうは特につかれていない。たださむいね。泣きそうだ。

起きているといろんなことを、ひざだけコタツにいれてすこしずつすこしずつ考えようとするんだけど、染色体みたいなヒモみたいなものがくっついては離れていくような、あの感じで、考えは言葉にする前に遠のいていってしまう。この肌寒さには身に覚えがある。大学のパン屋の、べたべたとしたアップルパイを食べたい。クリスマスツリーはなんであんなにも幸せそのものみたいな形をして光るんだろう。冬景色のかしましさに相反して、私のなかは段々と静かになっていく。それでも、この静けさには安心がない。

好かれることも嫌われることもだいたい同じだから、温度のないちょうどいい距離感で誰かのそばにいたいけれど、そんなことは難しくて、いつも挫折する。定期的に見る夢があって、それはこういう夢なんだけど、家に見たこともない動物が押し寄せて来て慌てふためいて、がんばって帰ってもらうっていう。目が覚めて、なんであんなに帰ってもらわないといけなかったのか、ふしぎに思うような、それは可愛いどうぶつたちで、なんだか私の人付き合いのしかたを暗示してるような…そんな夢なんだ。そこが街なら逃げることも隠れることもできるんだけど、家まで来られてしまったら、どこに逃げたらいいのかわからない。クリスマスオーナメントのような遠慮のない可愛さで、閉じている扉を叩く音がする。