2014-01-01から1年間の記事一覧

もうすこしがんばりましょう

夜風がやさしいと転びそうになる。空気の抵抗がなくなって、つまさきから滑りそう。その身軽さのままでどこまででも行けそうだけど、そううまくもいかない。明日は美術館のバイトがあるし、大学の授業がないから何もサボることができない。不真面目にすらな…

空から降ってくる

気分が悪いときの駆け込み寺みたいにしている喫茶店があって、今日もそこに行った。暗くて落ちつくなと思ったら、電球が切れてた。「戦時みたいよね」と優雅に微笑むご店主に、お客さんが戸惑っていて、そういうの、ちょっと好きだなと思った。ぼんやりして…

ありがとう

やさしくしたいと思えるひとがいてよかった。 バスの中とか、ふとんの中とかで、たまにそういうことを思う。 くたびれた夜なんかに、目を閉じて考える。 してもらったことよりも、自分のした行動に救われることもある。 やさしくしたいと思えてよかった。

空欄を埋めなさい

どうやってものを書いていたのかわからなくなった。時々こんな風に、頭がバカになってしまう時がきて、なにもできなくなる。どうやって絵を描いていたのか、どうやって勉強をしていたのか、すぐにわからなくなってしまう。あんなに一生懸命覚えたのに、忘れ…

目眩

月が綺麗で立ち止まってしまいそうになる。ぼんやり煙った輪郭と、その周りに霞んだ宇宙の、境目を見つめてしまう。見張っている。そこから何か、世界の秘密のようなものが、ここまで降りてくるんじゃないかと。目の奥が熱い。もしかしたら哀しいのかもしれ…

清算

日記を書くだけの電力が、頭に残っている夜だ。あー、ひさしぶりだ。一週間なにしてたかって? バイトの研修で朝から晩まで日本国憲法を勉強したり、鎌倉旅行に行ったり、雨ふりの中、友人と教授の誕生日プレゼントを選んだり、嵐の日にお花見したり、バイト…

胸焼け

胸が痛くなるようなよろこびはいつも切なさを伴う。それはじっとりと湿った雨あがりの陽射しのように、わたしの喉を焼いていく。 感動を伴わない生活は労働と大差ない。感動したい。それなのに心を動かされる度にうなだれてしまう。 今やっている美術館のア…

洗いたての町

朝は、プールに入りたくない日みたいなにおいがして夜は、お祭りの終わったあとみたいな光が見えてもう夏かな?ちがうか 世紀の日本画展っていうのが、いま、やってるんだけどその招待券をもらったから見に行ったんだ。いいなー、日本画、やりたいなーやりた…

春霞

博物館に行ったら、春の花がどれくらい咲いているのかがわかった。梅は散って、薔薇や木蓮咲き始めの桜が生き生きとした緑を取り戻した木々の間にちらちら見える満たされた季節だおなかがすかない朝食を食べずに出かけても不思議とやわらかな気持ちで。電車…

かすれてしまってよく書けない

なにかをあきらめるために言葉をさがすの、やめようなにかをわすれるために空をあおぐの、やめよう間奏のような日々が続いてかなしいともうれしいとも思わないままぼんやりと眠たい目で将来のことを聞かれても何も断定できずにただ毎日なんとなく満ち足りて…

はためく

元気のないときに春めくと焦る。焦るけど、このごろ元気だから、しっとりと濡れてあたたかな空気にも、うまく馴染んで歩いていける。風がふいているから、腕をひろげたくなる。形の無いものを受けとめようとして。きょう読んだ本に、[風はいのちの生成装置…

ご利益

実家に帰ってくると、遭難寸前まで歩くか、頭痛がするまでインターネットをしてしまう。なんだろうなあこれは。夜にやけに食べてしまうのは、何かの埋め合わせなんだろうか。おなかなんて別にすいてないのに。ばちがあたりそう。 なにか読んでないと、書いて…

絵画

この前、予定がくるってしまった日にノリで、弟と千住博美術館に行ったけどたいそう見事だったので驚いたもしかしたら、長野で一番良い美術館かもしれない併設されてる前衛的な建築のパン屋は、ちょっと悪趣味な気がするけど 滝と桜の絵の展覧会をしててさち…

学習

・持っていく本を考えるのは、帰省のたのしみのひとつだ考えてるうちにどんどん増えちゃって、困るんだけど幸せな悩みってやつ結局、5日間の帰省に4冊も持っていくことにしちゃった でも、荷物の総量はどんどん減っていくまず画材とキャンバスが消えて今度…

呪いを解かなきゃ

「え?」と聞き返されることが多くなった どうやら声が小さくなったようだった 以前は人前でマイクもなしに話すということが好きで 演劇なんかをちょっとかじったこともあった 大学にはプレゼンで入ったし 明瞭とした口ぶりで、声を張りあげてハキハキ喋るひ…

あの人が願ったこと

ここまできたら早く桜が見たいけど、きょうは吹雪いていたし、 しばらくは焦らされて終わりそうね この前読んだ本のなかに「本当の人間になりたいんだ」という言葉があって、 それからというもの、その言葉が胸につかえている 本当の人間 本当の人間ってどこ…

土地柄

いい紙の工場があると教えてもらったので、昨日工場に電話をかけて、静岡まで行ってきた けちれば片道2000円以内で行けるなんてびっくりした 富士山が裾野までまっしろに染まっていてね、綺麗だったよ~ 工場見学(というより資料見学)は2時間ほどで終…

祈り

大学の図書館が開いたので、うれしくって一日中本を読んでいた 入学当初は文芸の本がまったくないのにガッカリして、 それ以来図書館はほとんど作業スペースとしてつかっていたのだけど、 やっぱりデザイン書の量はどの本屋よりもそろっているし、いいとこだ…

激しさとやさしさ

きょうの雨はすこし冬のような感触がする 梅と雪と雨のまざる、すこし落ちつかない季節だね 会ってすぐに「また会おうね」と言われるとびっくりする 会えない間に何か不安にさせていたんだろうかと考える きょう会って、帰り道にはもう会う気なんてなくなる…

まるまる

どうして、感謝を示す挨拶は「ありがとう」しかないんだろうか 寝てると、ここのところ、気づかないようにして、 すーっと通りすぎてきた、ありがた~い出来事が 山のようになって押し寄せてきて、あーー、とうつぶせて バタバタしてしまったりして、なんか…

流れる

風が吹いていると安心する。もっと吹いていてほしい 強い風がバキバキ音を立てて枝を揺らしてくのを聞いていると、ぞくぞくする 長野にいたころは、人のいない、静かな2階にあがって、 畳のうえに寝そべりながら、裏山の木々が荒れるのを目を閉じてきいてた…

安全神話

どうしてかふやけてしまいそうな日々が続く就職活動しなくては、と思って就職支援サイトをのぞきに行ったはずなのに、つるつると明るい言葉の羅列を見ていると3秒くらいでうんざりしてしまって、気づいたら書道教室のホームページとか、見ている大事なんだ…

冬のなごり

わたしに春を教えてくれるのはいつも、桃色ではなくて黄色だ。 雪の重みに崩れそうになりながら咲く、山吹の花を見ていたら、ふいにそう思った。 実家の近くの土手に咲く黄色い花。あの花の名前をずっと、知らずにいたっけ。 花の名前というのは不思議で、覚…

忘れたふりをしているだけ

長引いていく食事や深夜の電話、ふいに届く手紙、eメール これが最後かもしれないと思ってひとの話を聞いているから どんなに一緒にいても深刻になるばかりでよくない いつからこんなふうになったんだろうか 忘れないでね、とよく言われる わたしのこと、ぼ…

嘘つき

なにをしても生きているふりのようになってしまう日だ 寒いからって眠りすぎた。それにしても雪がいっぱいふったね 真新しい雪のうえに雨がざばざばふっているのを見た友人が、 「世紀末みたいだった」って言っていた。世界の終わりかあ 最期に見る風景が雪…

少女なんかじゃない

リリイ・シュシュのすべて、という暗い映画を見ていたら、 中学や高校のときのことを思い出して、驚いた。 忘れてしまっていることの多さに驚く。 こんなにあっさりとすべて忘れてしまえるんだね。 もう2度と見ないだろうけど、映画を見たっていう手応えが…

気配

きれいなノートを買うと、字がうまくなりたいと思う 唄と字の稽古をしたいなぁとこのごろよく思う。生身の言葉の稽古 大学で、できたらいいのに 美大じゃない大学には習字の授業があると聞いて、うらやましくなった 贅沢は言わない、レタリングみたいな可愛…

隠しごと

あたらしい日記帳を買いにいかなくちゃ 中学校のころから、すこし上等なノートを買ってみては、気まぐれに 下手な芝居の台詞みたいな、おかしな言葉のメモをしていた 最近になってやっと、日記と呼べるようなものが毎夜書けるようになった どちらかというと…

若者たち

わたしは若いことを特別すてきなこととは思っていなくて むしろよく行く喫茶店の女主人の、 透き通るような白い髪にみとれてるくらいなんだけど 最近ぺんぎんの着ぐるみの件でよく会う友人は 身軽なままおしゃれになれる子で いっしょにいると、若いことがと…

まぶしくてさびしい

どうして美術大学だったの、と聞かれて、 へんな学校に行けばへんなひとになれるでしょう、 へんなひとになればへんな文章が書けると思ったんです、 と言うと、あなたはへんなひとだよ、と言われた それがふしぎとほめるような響きだから言葉をなくす 才能と…