嘘つき
なにをしても生きているふりのようになってしまう日だ
寒いからって眠りすぎた。それにしても雪がいっぱいふったね
真新しい雪のうえに雨がざばざばふっているのを見た友人が、
「世紀末みたいだった」って言っていた。世界の終わりかあ
最期に見る風景が雪景色っていうのは、気が利いていていいかもしれない
今日は、友人と活版印刷の工房の見学にいく予定でいたんだ
けど、この雪だから中止になってしまって、埋めあわせみたいに夕飯を一緒に食べた
就職活動にくたびれている友人に、「大丈夫だよ」とくり返していて、
言葉を口にする途中で何度か死にたくなった。あ、嘘です、死にたくはない
でも真剣に頑張っている彼女に私(全く頑張っていない)が言えることなど、
本当は何もないのだった
頑張って、という言葉が嫌いという人がたくさんいるので、
ちがう言葉を使うようにしている。ムリしないで、とか、なんとかなるよ、とか
でも本当は、そんな上辺だけのことに意味なんてなにもない
考えているふりをして、優しいふりをして、ちょっと安心したいだけだった
頑張って、って、良い言葉だよ。その人の幸せを祈るためにつかう言葉でしょう?
良い言葉なんだよ。そこに真心があれば
自由になりたい、とか、解放されたい、とか、みんなよく言うけど
わたしたちはいったい何にとらわれているんだろうか
それはいつか時間が解決してくれるんだろうか
お金が貯まれば安心するものだろうか
恋をすれば忘れるものだろうか
ねえ、ほんとうにそう?