2015-01-01から1年間の記事一覧

冒険だと思わなかった

母がきて、部屋をいっしょに綺麗にしていってくれた。ハンバーグを食べながら、「実家にはいつ帰るのか」と聞かれて、はぐらかしていたのだけど、ふいに、父が「みんなで花火大会に行きたい。」と言っていたと言われ、そんなの行くしかないじゃんと思った。…

ぷらぷら

「かき氷を食べよう」という約束だけで三鷹で会ったのに、ぷらぷら歩いていたら吉祥寺駅についてしまって、なんだかよかった。かき氷も、ぜんぜん流行ってる氷屋さんとかじゃなくて、タイヤキ屋さんの裏にひっそりとあるイートインで。日に焼けたほっぺがす…

この夏あの夏

この夏の間、サン=テグジュペリをわたしの先生にしようかと思う。数日前に読んだ本があんまりよかったので、なんだか手放せず、気に入ったフレーズを何度も読んでいるのだ。 「僕らは常に、何か人間の生命以上に価値のあるものが存在するかのように行為して…

サティ

なんだか誰かの忘れられない思い出の話が聞きたいな。はじめて買ったCDは何かとか、好きな子とやってた交換日記とか、地元でいちばんお気に入りな場所の話、まあ、なんでもいいんだけど。今、リストの愛の夢を聴いている。大学の授業補助がきっかけで、ピア…

こちら天の川

もうこんな国は出て、どこか空と水の綺麗なところで暮らしたい。わたしは一生人を殺したくないし、好きな人が誰かを殺すところも見たくないのだ。なんて言ったら過激か。よくわかっていない。でもわたしの好きな人たちがこぞって戦争になると言うのだから、…

あの青

SNSにクリームソーダの写真がいっぱいあがっていてうらやましい。わたしも飲みたいな。この前、出かけたとき、いつもクリームソーダばかり頼んでいるねえと言われてはじめて気づいた。どしゃ降りのなかコメダ珈琲店に行ったときもそうだった。クリームソーダ…

外国語が70億ある

「なぜ話をするの?何も言わずに生きるべきだわ。話しても無意味だわ」「本当にそうかね?」「わからない」「 人は話さないで生きられるだろうか」「そうできたらいいのに」「いいだろうね。そうできたらね。言葉は愛と同じだ。それ無しには生きられない」「…

ゴールドベルク

ひどい雨降りだった。朝がきて一回目のまばたきで、今日が丸ごとダメになってしまったのだとわかった。呼吸が浅くて天井が低い。これは喘息の発作のひとつらしい。ひどい嵐の日には体がこんな風になる。職場のひとにひと言、連絡をいれて寝返りをうつ。目の…

お帰りのうた

ほんとうにやさしくなりたいほんとうにやさしくなるためには、まっしぐらに考えぬくか生まれてから一度も考えないかのどっちかしかないわたしはもう考えてしまっただから行きどまりまで行くしかない寄り道してばかりだほしいものなんて最初からすべてもって…

七月の魔

また喫茶店のおじさんにケーキをご馳走になってしまった。撮影に使ったから、と言ってカウンターの下からモンブランを出してくれた。(なんの撮影なんだろう)喫茶店の人というのは何故こういうことをしてくれるのだろう。やめてほしい、泣いてしまいそうに…

うそみたいな青

つよい風のまま雨がふっていて、休日にしてはめずらしく、冴え冴えと目がさめてしまった朝。ひさしぶりに美術館に行こうと決めた。ここのところ美術館のことが嫌いだった。広すぎる場所にいると、そこに自分がいる意味がよくわからなくなるし、画家が望んだ…

虹彩

傘を買おうかと思ったけど、ひさしぶりに雨に濡れたら涼しかったのでやめた。今日の雨は夕立かもしれない。だとしたら、もうすぐ虹が立つ季節がやってくる。だから好きだよ、梅雨って。きょうは助手さんたちと読書について話せてうれしかった。本のことはも…

うやむやにできるあまりにもたくさんのこと

「あなたが人間であることの責任を果たさなかったことで告訴します。この死人の名において、私はあなたが恋をとり逃がし、幸福である義務をないがしろにし、意義のない人生をおくり、あきらめをもってその日暮らしに生きたことにたいして告訴します。あなた…

夜がしずかでとてもまぶしい

夜が黙っているお星さま根こそぎ落っこちた低い灯りだけ見て歩くような夕べはもういいのに夜が黙っている何も語らず僕たちのことを見つめている これからのことが 何もわからないから 都市伝説になりたい 今夜だけ 満点の星空みたいに暗い話がきらいで何かお…

なかったこと

よくわからないけど笑ってしまう。何を言っても、何を書いても満足のいかない日がつづく。満足がいかないから、言って後悔して、書いて消して、あったことは、なかったことになる。言葉にならなかったきもちは、いったいどこへ行ってしまうんだろう。どこに…

誰も知らない場所に行きたい

夜の街もきみとならずっと歩いていたいと思ったそれだけさそれだけで充分さきみが明日の授業を次はどうやってサボるか 考えるころ僕はリュックサックひとつで訪ねるんだ逃げちまおうぜどうせ誰も追ってこないさどうせ誰も覚えていないさそれならほら逃げちま…

あの森の名前

雑誌の整理をしようとしてうずくまったら、風がふいて動けなくなった。見るとちょうど窓の隙間から、サボテンを通りぬけて、わたしのところに風がやってきていた。そういうちょっとしたきっかけで、わたしの体がするするとほどけていくのがわかる。うつくし…

どれでも、好きなものを選んでいいよ

目の奥がじんわりと痛い。肩から背中にかけてがじっとりと熱いのに、指先だけやけに冷たい。昨日から体が重くて気だるかったのだけど、ずっと眠っているだけで休日が終わってしまうのもどうも味気ないからと、出かけることにする。「見に行きますね」と言っ…

即興音楽

中学生のクリスマスにもらったラジカセを、今でもつかっている。たまに音楽を聴くのだけど、その灰色の機械は、早送りができない。ひとつ、ふたつくらいなら曲を飛ばせるけれど、むっつめくらいになると勝手に曲をリミックスして流してくる。戯れに、あちこ…

動機はいつもやましい

夜がやわらかく思えるようになったのはいつからだろうか。今日は月も霞がかっていて優しい。初夏はもう、夕方だけ起きていられればいいくらいだ。夕陽の時間ってどうしてこんなに短いんだろう。金木犀を通過した光が小間切れになって磨りガラスに浮かんでい…

平和と暴力

1階から4階までをぶちぬく長いエスカレーターに乗っていたら、急に田舎のイオンモールで、何がほしいのかわからくなって立ちすくんでいた、十年前の自分がよみがえった。田舎のイオンモール。とりあえず広くて、ショップスタッフの不自然にやさしい声がず…

ハレの日

肌にじっとりとのしかかってくるくる湿気は、もう夏の予感そのもので、疲れきったように目を細める。早く梅雨にならないかなあって職場で言ったら驚かれた。梅雨が好きなの? 雨が得意なんです。えー? あはは。職場では、1万円ぶんの100円玉を数えたり、カ…

気の迷い

今日はバイトの面接に行こうと思っていたのに、ケーキが食べたくなってやめてしまった。辞退の電話をかけるときにどうしようか迷って、でも窓にうつるキラキラを見ていたら、「こんな晴れた日に好きでもない人と話してどうするんだろう」というきもちが強く…

世界

「さみしいから誰かと暮らしたい」という感情が、もうずっとわからない。ミュージシャンに唄われている愛ということばも、あまりわたしに馴染まない。わたしが愛というものを考えるとき、過去の恋人たちは一切の影をひそめてしまう。顔も体温もことばも、湿…

羽のはえたブタの置物

春がすぎないうちに、ロールキャベツをつくりたいのだけど、忘れてしまうかもしれない。新しい生活のなかでは、したくないことばかりきわだって、やりたいことはどんどん忘れてしまう。そんなこといけないね。だめだね。覚えていたいことを、眠らないうちに…