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それはミンドゥル

台風がいってしまって、安心したし落胆した。こんなひどい雨と風でも、冷房のきいた教室のなかでやる授業はいつもどおりで、もう獣じゃないんだなと思った。窓にながれる雨の線を数える。最初から数えきれないことなんか知っている。頭のなかがぼうっとして、なにかやわらかいものが、胸のなかで響いている。ほんとうはまだ覚えていたいことがあるけど、そのうち覚えていることを後悔するかもしれない。

昨日は同期と後輩と浴衣を着て出かけた。浴衣を貸してくれて、さらに髪も結ってくれて、なんだか姉が2人できたみたいだなと思った。ゆりかもめに乗って展示を見に行った。数年ぶりにプリクラをとったりはじめてビュッフェを食べたりした。そうだ。あとひさしぶりに綺麗なものを見てすこし安心した。このごろ、何をしても、何を見てもすぐに言葉にならずに消えてしまう。せわしなくて、光はすぐにわたしの前を通りすぎて、言葉が今に追いつかない。でも、途中、下駄がすれて足の皮がむけてしまって、困っていたらかわりばんこに自分たちの下駄をはかせてくれたことを、いつか思い出したいと思った。