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反射

今週のお題「わたしの部屋」

 

ちいさな白い革の手帖をなでてみる。お土産でもらったものだ。もう半年くらい前になる。たまにこれに詩と日記のあいだのようなものを書きつけている。まだ半分、あるかないか。書き終えたとき手の甲にふれる、裏地がふかふかしていて、うれしい。このように、物にやさしくしてもらうことがある。あなたがくれた石鹸。あなたがくれたハンドクリーム。キラキラと印刷のされた可愛い箱。すべて、形あるもので、誰かがわたしにくれたものだ。たぶん、やさしいきもちで。あなたは覚えていないかもしれないし、物だって、いずれはなくなってしまうけれど、今、わたしの部屋でつかわれ、存在している。思えばたくさんのものが増えた部屋だ。この部屋でたくさんのことが起きた。パーティーをしたこともあるし、友人がひとりで涙をとめにきたこともある。わたしのひとりの部屋。あの人がくれた本がある。あの子がくれた手紙がある。わたしのひとりの部屋。

愛のことを考えたいのだと言って、わたしに会いにきてくれた子に、教えてあげられることがたいしてない。質問ばかりしているね。できるだけ透明なみずうみのような人になれればいいのにと思う。できるだけ透明なみずうみになって、あなたの顔を、できるだけ正確にうつしたい。揺らせば揺れる。そんな不安定な水。あなた達との接点。まだ透明にはほど遠い。それでもそんな風に世界に関わっていられないだろうか。あなた達を信じる。あなた達。わたしのちいさな波、わたしの愛。