虹彩

傘を買おうかと思ったけど、ひさしぶりに雨に濡れたら涼しかったのでやめた。今日の雨は夕立かもしれない。だとしたら、もうすぐ虹が立つ季節がやってくる。だから好きだよ、梅雨って。

きょうは助手さんたちと読書について話せてうれしかった。本のことはもう好きとか嫌いとかじゃなくて、たまに食べる甘いものくらいに思ってるから、趣味と呼べないということを言った。読み始めると疲れてしょうがないから、ほんとは読みたくないんだという話もした。でもそんなことを言っていたらなんだか本が読みたくなってしまった。

風がつめたくて、誰かにやさしくしたくなる。明日助手さんに貸そうと思っている本の中で、メルロ=ポンティは眼のことを「魂の窓」と呼んでいるのだけど、だとしたら眼から入ってくるものはせめて、風や光であってほしい。