移るし動く

朝食にクロワッサンを食べてそうだなぁと思うよ と言ったら、微笑みながら「朝食はオロナミンCだよ」って返されたの、よかったな。この前会った友人と、吉祥寺の街を歩いてたときに、何かの拍子に言われた。なんなんだろう、この絶妙な会話センス。ヤクルトでもチョコラBBでもなく、オロナミンC。いいなあ、と思う。

東京で遊んだり、おいしいもの食べたり、友人に会ったりして、とても楽しかったんだけど、到着2日目くらいの夜にクーラーをつけっぱなしにしたまま寝てしまったせいで、まだ治らない、しつこい風邪を引いてる。心はかなり元気になったんだけど、咳が止まらないのだ。やっぱりあちらを立たせばこちらが立たずって感じだね。でも何も無いよりは揺れてたほうがいいかな。そう思いこんでおくことにする。ギャラリーは、元気じゃなくて行けなかった。

東京で会った人たちは、静岡から来てくれていたり、前日まで軽井沢にいて、その日の夜から大阪に行くとか言ってたり、そういえばあまり東京にいない人たちだった。東京は私にたくさんの友人をくれたけど、その人たちはみんな本当にてらいなく、いろんなところに飛び出していく。9月の頭には私も東京の家を一度引き払う予定なのだけど、あまりお別れという気がしないのはそのせいかもしれない。つくづく、物理的な距離はあまり重要じゃない と思う。

大阪に行くという子は、外国の建築家がつくった霊園を見に行くのだと言っていた。イメージよりずっと明るい雰囲気の霊園で、たしかに良さそうだった。ほかにも、いろんな建物の話をしてくれた。軽井沢にあるという綺麗な石の教会の写真も見せてくれて、一日のうちにおすすめの教会とおすすめの霊園の話をしてくれる人なんて、きっとこの人くらいだろうなあと楽しくなってしまった。私は建築には詳しくないから、本当に話を聞かせてもらうくらいしかできないのだけど、何故か私は、彼女達が熱心に好きなことの話をしてくれたあとは、この世界のことがすこし面白いもののように見えてくるのだ。そういう人にはできるだけのびのびと、好きなように生きていてほしい。だから、元気そうでよかった。そう思った。

ああ。一方私は、ほんとうに咳がとまらない。咳をしても一人。なんて、ほんとうに咳をしてるときには思いつかないから、やっぱり尾崎放哉ってやるな。