いっしょになれはしないのに

いろんなことに疲れきっていてどうしたらいいのかわかんない。やりたいことはあるんだけど、どこから手をつけたらいいのか整理なんてつかないから、とりあえずトーストを焼いたりシャツを干したりしているうちにくたびれて眠ってしまう。焦りばかりが先走って、地平線のむこうで輪郭をゆがませている。だらしないまま愛されるならいいのに、そういうわけでもないから明日も顔を洗って出かけるんだろうよ。

週明けまでのタスクが無事に終わるのか不安で、今日も残業してしまった。質のいいものをつくりたいという気持ちはあるけど、集中力がつづかないから終電より前に帰路につく。帰り道、高架下でハーモニカを吹いてるおじいちゃんがいて幻覚かと思った。ていうかハーモニカ、めちゃくちゃうまくて。ハーモニカって上手にふけたことないし、現実味、ないなーと思った。まあそんなことはいいんだけど、このところはもう二度と会うこともないだろう人達がやけに夢に出てきて、そのせいかあまり寝覚めがよくない。その人たちはみんな、明るくて周りに人がいっぱいいたから、きっと私のことなんて、もう忘れてしまっただろうけど。

明るい人がいつまでもうらやましい。人と距離を置かずに話せて、頭の回転が速くて、本なんか読んだことなくて、約束をすぐに破って、でもすぐに許したり許されたりできる、そんな人たち。そんな風に生きられたらよかっただろうな、といつも思う。思うけど、そういう人たちと仲良くできない。やさしくしてくれるのに、そのときにはそれがよくわからないから。

あなたに私のことなんてわからないと突き放すには、あまりに見透かされている。そういう人たちのさみしさを、きっと一生理解できないまま、めずらしい鳥の名前を言い当てるように見つめてしまう。