あたま

朝のひかりのつめたさに頭痛がする。目を細めてもじゅうぶんに明るいのに、11月の朝7時過ぎを歩くには、この上着はもう軽すぎたみたいだ。薄いむらさき色のコートの前をあわせて、深呼吸する。このコートは私にあまり似合っていないけど、まるでいつか見た朝焼けみたいな色だから、羽織って腰のあたりの色を見下ろすのがすきなのだ。

ひかりにも頭とからだがあるだろうか。だとしたら、私の目にとどいているものはきっと頭だとおもう。いつもそれはおおきくて重たいから。

実体のない焦りと不安でぼーっとする。休憩時間に読もうと思って鞄にいれた本を、休憩時間に読めたためしがない。それでも毎日のように取り出しては戻す自分の仕草は、なんだか使わない教科書を運ぶ小学生のようで。