夏休みが終わらない

8時に目がさめて、「まだ寝ていてもいい」と気づく。そんな生活に、ようやくすこし慣れ始める。私は二度寝って大好きだ。もう誰のことも怒らなくていいのだと安心するには、まだ数々の手続きが終わっておらず、時間があればなんでもできると割り切るには、今までの生活に未練がある。今日、オレンジの夕焼けを見た。おおきな雲がクリームみたいだ。既視感がある。そういえば、大学を卒業してもう4年も経つのに、夏に働いていたという記憶がない。前の職場は大学で、夏休みがあったから。あとの2回は、まあ予想外の夏期休暇だ。そんな人生もある。

明日の面接の用意をするためにパソコンを開く。あまり気乗りしない。いつも会場に向かうときは「もっと何かを好きになりたい」という期待をこめて行くのだけど、どうにもこうにも、本気になりきれないままでいる。私でなければならない仕事など、この世にはない以上、この職場でないと嫌だと、私自身が思えるようにならなくては、虚しいではないか。それとも、それすら欲深いことなのかな。我慢できる人の考えることは、私にはよくわからない。仕事や職場が好きだということは、毎日の半分を好きでいられるということだ。少なくとも、前の職場では、人間関係がうまくいかなくても、仕事内容を好きだということで随分と救われた。もちろん、私はうっかりした人間だから、楽しいことばかりではなかったけれど。それでもたしかに、販売や制作が好きだったと言える。

好きになるということは、とてもふしぎだね。そういえば、この前、趣味を聞かれて詰まった時に「趣味は読書じゃないんですか?」と聞かれて、困ってしまった。読書は、私の生活に当たり前にあるもので、なんだかもう好きでやっているのか、無理して続けているのか、よくわからないんだ。でも、それが私の好きという感情なのかもしれないな。そうやって私は、なんだかんだで、多くの時間を本と一緒に過ごすことを選んでいくのかもしれない。何かをずっと好きでいることは、とても難しいから。