6月のクリスマス

数えきれないくらいたくさんのお菓子と花束をもらって、ほろ酔いで帰る。今日が最終出勤日で、はじめて上司と先輩と3人でお酒を飲んだ日だった。紙袋いっぱいに詰まったプレゼントを見て、「クリスマスみたい」と言ったのは先輩の声。まっすぐすぎる帰り道のちょうど真上に、クレーターのないきれいなお月様が煌煌とかがやいていて、こんな夜に見るにはおあつらえ向きすぎた。プレゼントの入った紙袋を持つ手が痛くて、たくさんのやさしい縁を断ち切ってまで、いったい何を変えようとしていたのか、何か守れたのか、よくわからずに、駅から徒歩15分の帰り道、たっぷり絶望した。無関係なものごとをつなげて考えてしまうのは、人生に伏線があると信じている、どうしようもない私の楽観によるものだ。満月が家までついてきてくれるので、今日のところは泣かずに済んだ。