梅雨とコーヒー

黒い傘を持っていてよかったと思うのは、機嫌が悪いときだ。梅雨だけど、まともな傘を1本しか持っていないので、コンビニで買った折り畳み傘を毎日かわかして使っている。雨はどちらかというと好きなのだが、低気圧で体調が悪いのが困る。私はいつも、体調が悪いのか人生がうまくいっていないのかの区別がつかない。

ご機嫌とりに珍しく部屋でコーヒーをいれてみる。インスタントコーヒーは、あのちょっとずつ、ドリッパーからこぼれないようにお湯を注ぐという繊細な行為と、そのとき一瞬だけ部屋がコーヒーの匂いになって、そのことしか考えられなくなるという現象が好きで、気に入っている。いいにおいや気分に満たされたいというだけで、本当はコーヒーの味なんかあんまりよくわかっていないと思う。まあ、それでいいのだが。マグカップをもつと、あたたかい。あたたかいというのは、いいことだな。