コールドスリープ

注いだばかりのオレンジジュースがぬるかったので、冷蔵庫が壊れていることに気づいた。いつから壊れていたんだろう。そういえば、このところよく唸っていたような気がする。冷凍庫はまだ動くから、冷凍食品だけで暮らそうかな、もう。あーでも、冷凍食品ってきらいなんだった。困ったな。点灯管、ちゃんと買ったのに。今度は冷蔵庫かぁ。今度っていうか、また冷蔵庫かぁ。

生活に興味がもてなくて参ってしまう。たとえば食事。人といる時はおいしいものが食べたいし、お店をさがす努力くらいはするけど、ひとりならトーストでいい。上質な暮らし というものに憧れはあるけど、いざ生活しようと考えると足りないものが多すぎてくらくらする。無理無理。上質、無理。

今のところ死ぬつもりがない というだけで四半世紀も生きてきてしまったので、「この先どうするの?」と聞かれると困ってしまう。最低限 が低すぎる。とりあえず、明日は生きるし、3年以内にやりたいことはいくつかあって、でもそれが何かを言っても、信じてはもらえないだろうな。わかっちゃいるけど、その事実を目撃してしまったら、私はあなた達のことをきっと今よりすこし好きじゃなくなってしまうから、ほんとうに言いたいことは胸に秘めておくんだ。でもそれって、ほとんど誤解させているようなものだろうか。いやいや、ひとつも隠しごとのない関係なんて、それはそれで退屈なものに違いないよ。

そう、思っておく。大事なことはあとにとっておく。待たせている。いろいろな約束が、すぐにも結論を出せてしまえそうな、簡単な なぞなぞを、かろうじて寝かせておいてくれる。