花の幽霊

昨年の春から写真を撮り始めた。ボタンを押せば撮れるインスタントカメラで。きっかけがどれだったのか明確にはわからないのだけど、バラ色の日々 というMVに使われている写真がたまに見たくなる。フィクションの優しさに支えられて過ごしてきたというのに、現実の強さに砕かれたくなるのはなんでだろうか。

現像した写真の一枚目は、昨年いろんな人からもらった、お別れの花束を活けたものだった。花瓶が足りなくて、ペットボトルの口を切って、4つくらい並べていたっけ。まだ何も予定が決まらない私の、西向きの部屋で、白い花が明るかったことを覚えている。大学の授業で露出とか絞りとか、いろいろ教えてもらったのに、未だに逆光という概念のことがよくわかっていなくて、撮った写真は青白く、花の色までは映していなかった。