ぜんぶ忘れてしまう気がする

手ぶくろをどこかに落とした。くたくたの、安物の、なんてことない手ぶくろだけど、母が買ってくれたものだった。なんだかさみしいなと思った。試しに片っぽだけはめてみる。それがほんとうなのに、裸の手はかっこわるい。そういえばこの前、風邪を引いてマスクで通勤していたんだけど、うっかりくちべにを忘れて行ってしまって、職場のかがみで自分の顔を見たら、くちびるが赤くなくて恥ずかしかった。口なんか、もともとあんなに赤いものか。それがほんものなのに、ばかばかしいなあ。

クリスマスが終わってからおみくじを引くまでの、年越しの空気が好きだから、今はとてもうれしい。職場でひっきりなしに鳴っていたクリスマスのオルゴールも止まっているし、花屋の店先も赤い実がたくさん並んでいてきれい。めでたい!って感じだ。早く仕事納めにならないかなあ。接客業だから、きっと年末年始におやすみなんてもらえないだろうと思っていたのだけど、先輩が気づかって4連休をくれた。先輩は今日で仕事納めだったから、帰り際に「よいお年を」と言ったら、この前りんごをあげたお礼にとお菓子をくれた。手紙がついていて、わたしが喜ぶようなことが書いてあった。今の仕事先の先輩が褒めてくれるときはいつもメモとか、手書きの文字で、それがなんだかほんとうっぽくてうれしいんだ。

今年はなんだか、いろんなことがいっぱいあって、まさに「起死回生」って感じだったな。いっぱい死んだし、いっぱい生きた。わたしはいつも、最悪なのはなにもないことだって思っているから、これはきっと最高ってことだ。今年の日記はこれで最後になるかもしれない。来年も気が向いたときに書けたらいいな。みなさん、どうぞよいお年を。