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今にしてみればやさしい

地獄みたいにいそがしい、と聞いていた日曜日はなんとか乗りきることができた。注文、お客さんの案内、お運び、レジ、注文、片づけ……。くるくると回るようにその時々のやるべきことをこなしていると、自分のなかに妙なリズムが生まれて、ときどき「自分」という速度を超えられる瞬間がある。それをずうっと維持することはできないから、気をぬかないことが肝心だけど、「それ」ができたときはうれしい。

仕事が終わって、なだれこむように、喫茶店の子たちとメキシコ料理屋へ行って、そのあと、最近できたというビストロへ行った。6人くらいで飲むのが最近はたのしく思えるからふしぎだ。たまたま居合わせた常連さんもいっしょにまぎれこんでいて面白かった。あと、お店をもう卒業しちゃった先輩がきていて、終始話題はその人のことだった。妙な人に好かれちゃう体質の人らしくて、それを心配してまわりの子たちが泣き出したのにはびっくりした。愛だなーと思った。そういえば、バイト中、ずっと叱られてばかりだった先輩が、差し入れを持って心配して様子を見にきてくれたらしいんだけど、それもなんか愛があってうれしいなと思った。

あの日の帰り道がみょうに楽しくて、へらへらしてしまって、それがなんでだったのかを今になって考えていたのだけど、たぶんこの2つのせいだったんだな。もちろん、酔ってたっていうのもあるだろうけどさ。自分のきもちを波立たせているものが人のやさしさだということに気づくと、すこしほっとする。