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脱線

こんこんと12時間ねむりつづけた。くたびれると、すぐ夜更かしに甘えたくなるけど、やはり睡眠は効く。睡眠と日光が憂鬱に効く。荒れ地となった部屋の手入れでもしようと思っていたのだけど、せっかくの休みなので、すべてをほったらかして、買い物をしに行くことにする。日光がきもちいいせいで、バス停を通り過ぎて駅まで歩いてしまう。わたしは予定外の予定を愛する。

脱線に脱線を重ね、仕事用のスニーカーを買いに行ったのに、気づいたら両手に本をかかえていた。もうだめだ。帰り道、行ったことのないお店に行ってみたくなって、人形の館 というカフェバーでだらだらした。ダッチコーヒー、というコーヒーを頼んだのだけど、ひさしぶりにコーヒーを「おいしい」と思った。はずかしい話、わたしはコーヒーの区別というものがたいしてつかない。ここのコーヒーは区別がつくコーヒーだ。うれしかった。薄暗い店内のあちこちに、ビールの王冠やら古い雑誌やらが積みあがっている。たからものだ、と思った。ここにあるものは全部、たからもので、だからか、ごちゃごちゃとしているのに、とても落ちつく。大学で、いいものにはたくさん触れてきたけれど、こういうたからものには、なかなか出会えない。

たからものといいものはちがうんだよ。そんなこと考えたことないかもしれないけどさ。わたしは考えなくてもいいようなことを、結論を出すこともなく考えていたいだけなんだ、と思った。しあわせになった。たいせつなことを思い出せたから。