傘の不思議

小雨なので傘はささなくていいかと思った。しかし家を出てバス停につくころには本降りになっていた。ぼーっと木の下で待っていたら、見知らぬ婦人が「よければすこしはいってください」と、傘を半分貸してくれた。これで知らない女性に傘をさしてもらうのは2度目。貸してもらうのは4度目。天の助けなんだろうか。人に話すと「ふつう、人生でそんなこと起こらないよ」と言われてしまう。起こりまくってしまう。なぜだろう。バスを待つ10分間、とぎれとぎれに、ぽつぽつとどうでもいい話をした。このへんに住んでいるのかとか、なにをつくっているのかとか。たいした話をできなかったな。どうかあのひとに、明日いいことが起こりますように。