勝手にあきらめたりなんかするなよ。

じゃぶじゃぶに砂糖をいれて
かきまぜたばかりのコーヒーみたいな
甘ったれた気分だよ
ちょっと話をしたいだけで頼んだ
飲みものはいつも 黒さをもてあましている

悪いね

きみの思いえがいている夢のどこに
自分を歩かせたらいいのか思いあぐねても
いつも何ひとつ ひらめかないから
こうして会話が足りなくなるよ

なぜかな

知らない国に行きたいなあ
たくさんの日本語を覚えたのに
ひとを好きになるたびに言えないことがふえていくなら
言葉なんてすべて忘れてさ
野生の動物を抱きしめるときに頭
ふにゃふにゃになっちゃう柔らかさ
あれを愛って呼んで暮らせばいい

なんてさ

それほど事態は深刻じゃないんだ

みんなして
自分はひどい人間なんだって打ち明けたくなるような夜の
ネオンはひときわ綺麗だよなあ
実際 そういうみっともない
告白のすべては遠からず当たっちゃいるんだけど
きみはすこしくらい僕を傷つけてもいいんだ
ひとまずこのメールじゃそう言っておくよ
人知れずうしろめたいきもちでいたところで
僕は気づいてなんかやれないし
死ぬほどドロドロに泣いたって
のむヨーグルトを飲んだらあっさりと出かける明日の
朝にも会いたい人がいて
そのなかにはまだ きみが含まれているんだから
勝手にあきらめたりなんかするなよ