ガードポール

朝がまぶしい。秋のひかりだと思うのに目が痛くて。かなわない。本来の出勤時間より早めに行って、ドトールでコーヒーでも飲もうと思ってたんだけど、駅についたときに鞄を見たら、財布が入ってなかった。焦った。Suicaの残高は200円。帰ることすらできないんですけど? 先輩に500円借りて帰ってきた。わたしは財布をなんだと思ってるんだ。

帰り道、くたくたに疲れて、最寄り駅でグレープフルーツジュースを買った。それを飲むためにベンチをさがしたけど、煙草を吸っているひとでいっぱいだったので、ガードポールにもたれかかって飲んだ。ふいに、わたしは煙草じゃなくってジュースを選んだ側の人間なんだと思った。でも好きだよ。煙草を吸う人。みんな、なんか目が暗くってさあ。

お店は全席喫煙だから、自分の服から、吸ったこともない煙草のにおいがする。よくわたしが煙草を吸ってたらショックだなあ、って言われるけど、仕事帰りに知り合いにあったら、ショック、与えちゃえるかもな。ショック、与えたいね。この前森美術館で見た隕石の黒さのことを考える。あんなに可愛いショックなら、わたしだってぶつかってみたい。だって予想外のことなんて、そうそう起こりもしないから。

それにしても、煙草ってどんな味がするんだろう。咳がやっと止まったばかりだから、吸ってみたいとは思わないけど、煙草のけむりは冬がおいしい、って教えてもらったときに、なんかいいな、って思ったんだよね。だからなんだってわけじゃないんだけど。