入り口

どんな音楽を聴いても心がいっぱいにならない。音楽になっていない感情はどうやって手なづければいいのだろう。

先輩が早めの誕生日プレゼントにくれた髪留めをして大学に行く。はじめて行く大学に。まだ在学生の夏休みがはじまっていなくて、大学生みたいな大学生がいっぱい歩いてる。かわいいなと思う。司書講習を受けにいったのだけど、講習生の顔はまだ、たいして見ていない。みんな前を向いてしずかにしていた。廊下ですれちがう、在学生のほうが活き活きとしていて、明るく見える。あたりまえか。ここはきみたちの場所だものね。なんて、あきらめないで明日は誰かに話しかけよう。校舎が白くて、緑があおくて、何もかも、ものめずらしくて、爽やかで、あたりさわりがなくて、素っ気ない。なにかはじまっていくときには。