やまないギター

夜中にチョコレートを買いにいってしまうクセを、なおしたほうがいいと思うんだけどやめられない。前にも書いたけど、これはちょっとした自虐なのだ。コンビニの会計をやっているお兄さんが、何度もレジを打ち間違えていて心配になった。しかし商品をすべて覚えることなどできず、その数字のボタンを押す作業に愛着がもてずとも、シフトがめぐるたび、きみの仕事はつづくんだな。ぼーっと帰り道を歩いていたら「すみません!」と声をかけられて、何かと思ったら、忘れていたポイントカードを走って届けてくれた。彼にいいことがありますように。カードを財布にしまうまでの3秒だけ、祈った。

仕事をしないと生きていけないって、ふしぎなことだよな。みんないそがしくて、そんなこと考えもしないだろうけど。獲物を狩って野菜を育てていたころがなつかしい。なんてな。数ヶ月前に聴いた唄のギターがずっと頭から離れなくて、からだは楽器になりたがっている。夏の夜は日陰が深い。ずっと立っていると自分のことまで忘れられそうだ。忘れちまってもいいんだぜ。

きょうは田村隆一の詩集を読んでいた。「言葉なんか覚えるんじゃなかった」と嘆いているような詩人がいちばん好きだ。今からだって遅くない。言葉をつかって言葉のいらない世界へ行こう。最初の一歩はわたしが踏むよ。