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こころの平らなところ

母の日に贈る花を注文した。そんなことをするのはうまれてはじめてで、すこし不安だ。でも、やりたいと思ったときにやる、ということを今までも大事にしてきたから、贈ろうと思う。なんでいきなりそんなことをしようと思ったのかって、たぶんカーネーションのことが可愛く思えるようになったからなんだけど、わかってもらえるかな。むかしは嫌いだったカーネーションが、最近はワンピースのフリルみたいに見えてすきなんだ。


嫌いなことは全部やめてしまって、こころの平らなところで話をしたい。それはたとえば、わたしのなかの野原のようなところ。そこが晴れているときはほんとうに短いから、たとえばそこで待ち合わせをしても、あなたに会えるかどうかわからないけど。空は沖縄の海みたいな、偽物の高い石のようなシャーベットカラーで。そんなところで、あなたとサンドイッチを食べたら、きっと、きもちがいいよ。

せわしない一日のなかでは、たくさんの出来事が水槽のなかの魚になって、目の前を通りすぎていってしまって、わたしの声は追いつかない。ありがとう。たくさんのひとが呼んでくれたわたしの名前のことを、やっとすこしずつ許しはじめる。最初に拒絶がある。むかしなかったことにしてしまった、きみの告白のことを思い出す。わたしに小さな石をくれた男の子、あの子、元気かな。まあ、どうせ元気だと思うんだ。

あのとき、わたしのことで悲しくなってくれて、どうもありがとう。いままでやさしくしてもらえなかった子どものころのわたしが、きみに許されているのを見て、救われたような、やるせないような、もどかしいきもちになるけれど、これ以外のどんな言葉で、この感情にむきあえばいいのか、やりかたがまだわからない。