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あけていく

年の瀬というのは、いつからいつまでなんだろうか、とふと疑問に思って調べてみた。

 とし‐の‐せ【年の瀬】 年の暮れ。年末。 冬》――goo国語辞典

ぼんやりしているなあ。でも、そんなところもすきだ。

 

新しい気分になるのがなんだか嫌で、ぼうっとストーブに当たって、目を開けたり閉じたりしていた。ふと思った。まだ、年末に消えてほしくないなと。もう年賀状も書いた。年越しそばも食べた。大掃除もしたんだ。とっくに暮らしてない家なのにな、ってちょっとすねながら。そういうたくさんの出来事が終わっていくことに、おそらくわたしは安心していたのだ。おわりは静かでやさしい。対して、はじまりはいつも乱暴だ。しかし終わってしまったことの次には、いつだってはじまりが控えている。そんなことにすこしの永遠を感じたりもして、なんかふがいないや。

 

わたしは知っている。山並みのむこうから届く桃色のひかりが、いつもやさしくわたしの頬をあたためてくれていたこと。ゴム手袋をつけながらこすったお風呂場の汚れが、いくらこすっても完璧に消えてはゆかないこと。そういったいくつかのあきらめが、愛着のようになってわたしにこびりつき、走り出せずにいるということ。

 

いちどすべてを焼き払おう。気丈でいよう。もしも一度だけ、自分の望みだけを口にしていいと言うなら。全部がたましいのついでであってほしい。人間の幸福をいちばんの背骨にして凛と立たせ、そこに沿うようにして社会がついてくればいい。そのために必要なものをこの手で育てよう。痛みならいくらでも引き受けるから。