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あかるい世界

朝、吐いた息がしろくて、たまらなくなった。キンと全身にしみわたる寒さを、押し出すようにして吐く、このふうわりとした白さを、どうしようもなく好きだ。このしゅんかんを、いったいどうやってとっておけばいいのかわからない。ただ冷たい風。まぶしさに、かすんで見える道路と街路樹。ただ、綺麗な時間。その嘘みたいな清潔感につつまれて、全部がどうでもよくなる。朝も、ひとりになることも、生活の、すべてがきみを許すためにある。

わたしは職場にむかって歩く。人生には目的がない。だから自分を好きになるために生きている。そうやって傷ついていく人をたくさん見た。痛そうだった。でも、それくらい、なんてことないのかもしれない。僕が、わたしが、おれが、って、うるさい、やかましい、自分本位な、あかるい世界。日の射す方にむかって歩いているから、いつもまぶしくて、他人のつくった矢印なんか、見えないんだよ。