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わたしたいわたし

けっきょくのところ、宛先のない手紙を書いてしまう。ひとりの時計はあてどなさすぎて、何もしないと秒針が止まって見える。でも何から手をつけていいのかわからない。ピアノを弾きたいわたし。詩を書きたいわたし。剣道をやりたいわたし。たくさんのわたしを持て余す。

なんて迷っていてもしょうがない。今日は半日働いて、実家から貰った米と野菜で夕飯をつくって食べた。うちの畑でできたもの。茄子にトマトにきゅうりにじゃがいも。どれも少しいびつで可愛い。冬瓜のお味噌汁が食べたいなあ。あの嘘みたいなやわらかさに歯を立てて、しょっぱい汁を音を立てて飲みこみたい。きっと涼しく感じるはずだ。

職場のわたしはあまりにも役立たずだから、夏休みの間にカメラの勉強をしようかな。昨年まで美大生だったのに、ほとんど鉛筆と手帖しかつかわなかったせいで、機材の使い方の質問をされても、なんにも教えてあげられない。この前なんて三脚の使い方を逆に学生に教えてもらってしまった。それはだめだよね。せめて記録写真が上手に撮れるようになりたい。このごろ思うことは、わたしも昔、誰かに救ってもらったみたいに、遠い誰かの助けになれないだろうかということ。何かおもしろいものが撮れたら教えるね。