冒険だと思わなかった

母がきて、部屋をいっしょに綺麗にしていってくれた。ハンバーグを食べながら、「実家にはいつ帰るのか」と聞かれて、はぐらかしていたのだけど、ふいに、父が「みんなで花火大会に行きたい。」と言っていたと言われ、そんなの行くしかないじゃんと思った。ああなんだか昨日焼いたところがヒリヒリする。

昨日は思いつきで鍾乳洞を見にいったんだけど、何度あの光景を思い出してもすこし夢みたいだ。あの風の寒さ。くら闇に浮かびあがる洞窟の地肌。あの滑らかさ。つよく意識したのは天井の高さのことだ。どこまで広がっているのか、わからないくらいの果てしなさを見せることもあれば、腰をかがめてやっと通れるくらいの気詰まりな道もあった。あんなに冒険だと思わなかったので、今もびっくりする。

ところどころに「地獄穴」とか「水琴窟」とか「三途の川」って、大仰な名前のキャプションがあるのがちょっと滑稽だったな。どうして名前をつけてしまうんだろう。星に名前があるわけも、未だにピンとこない。