なかったこと

よくわからないけど笑ってしまう。何を言っても、何を書いても満足のいかない日がつづく。満足がいかないから、言って後悔して、書いて消して、あったことは、なかったことになる。言葉にならなかったきもちは、いったいどこへ行ってしまうんだろう。どこにもいかないでほしい。それなのに手の中には何もなくて、言葉にならない、このたくさんのきもちのやり場がないから、ひとりで泣いているしかない。感情に名前なんかないのに。名前のついていないすべての感情が、ぜんぶ涙になってしまう。夜の真ん中で、嵐が通りすぎるのを待っている。雨がふっていて、風もつよい。それがわかる。でもわたしは、一枚の壁を隔てた部屋のなかで、ひとりで、その音を聞いているだけだから、濡れることもできない。