気の迷い

今日はバイトの面接に行こうと思っていたのに、ケーキが食べたくなってやめてしまった。辞退の電話をかけるときにどうしようか迷って、でも窓にうつるキラキラを見ていたら、「こんな晴れた日に好きでもない人と話してどうするんだろう」というきもちが強くなり、次の瞬間には電話口でスラスラと口上を述べてしまうのだった。いよいよ本を売らないと家計が立ち行かなくなりそうだ。ケーキはおいしかった。

できるだけ気分よく暮らしたいというきもちが強すぎる。我慢ができる人に、ケーキを食べたいという動機と生活のために働きたいという動機がぐちゃぐちゃになっていると怒られるかもしれない。でもきもちに高尚とか下賤とか、そんなものがあるんだろうか。わたしはただの人間なので、そういうことはよくわからない。いつも、評価がつくのは行いに対してだけで、きもちには何も与えられない。なんでだろう。

わたしはこのオマケみたいな一年をつかって、とにかく自分に正しくなろうと思う。べつに何か大それたことをしたいわけじゃない。それは夕飯をごはんにするかパンにするか程度のことでもいい。そうやってどんどん軽くなっていきたいのだ。絶対にしなくてはいけないことなんて、この世にはひとつもないのだから。