春霞

博物館に行ったら、春の花がどれくらい咲いているのかがわかった。

梅は散って、薔薇や木蓮
咲き始めの桜が
生き生きとした緑を取り戻した
木々の間にちらちら見える
満たされた季節だ

おなかがすかない


朝食を食べずに出かけても不思議とやわらかな気持ちで。電車の窓から見える、何の変哲も無い景色が春めいて。綺麗に思えたりした。

大きな公園の片隅に、子どもの声に包まれるようにしてある、その博物館の説明書は、案の定ゴシック体で。なるほどねと思いながら見ていた。博物館はいいな。無骨で、不器用に優しいおじさんのような感じがして安らぐ。


見終わる頃にはお腹がすきすぎて困った。特になんの下調べもせず、良さそうなほうへ良さそうなほうへ、と歩いたので、案の定迷う。小学校を通り過ぎて昼食のにおいの残る住宅街に迷い込んだときは、果てしない気持ちに襲われて、飢えと飽食について考えてしまった。あまりにも店がないので、木材屋さんの前で、いいよな木は…おなかすかないし…とか考えていたら、おいしそうなクッキーの写真の載ったプリントが貼ってある。しかも木材屋に似つかわしくない可愛らしい字で、「お菓子あります」と書いてあるではないか! その看板につられてぐるっと建物をまわったら、木材屋さんとほぼ合体みたいな形になってるカフェが、真後ろにあるのを見つけた。

しかもそれがまたかなりの地域密着型オシャレカフェで、木造りの壁や椅子や机のあるお部屋のなかで、手作りのケーキを主婦っぽい奥さまたちがつついていて。
なんだここは…森の中のお茶会…?
とか思ってメルヘンの国に飛びそうになった。新ジャンル、木材屋カフェ…

なんだか出来すぎた春休みだなと思いながら、デザートのチーズケーキをつついてたら、窓からちっちゃい顔が2つ並んでこっちを見てたから、口に含んだ形のままで固まったけど

あげないよ?