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祈り

大学の図書館が開いたので、うれしくって一日中本を読んでいた

入学当初は文芸の本がまったくないのにガッカリして、

それ以来図書館はほとんど作業スペースとしてつかっていたのだけど、

やっぱりデザイン書の量はどの本屋よりもそろっているし、いいとこだなぁと思った

特に、詩歌の棚があるのがうれしい

 

最近になってやっと詩集というものを読むようになったのだけど、

詩というものへのイメージが良いほうに変わりつつある

詩というのは、たとえば寺山修司の少女誌集みたいな、

ロマンチックで綺麗な言葉あそびのことを言うのだと漠然と思っていたけど

違うのかもしれない

詩集というものを読んでいると、ひとりのひとの人生を

ぼーっと空から眺めているような感じがする

こんなにも「作家性」というものをむきだしにする媒体があるだろうか

 

 

書くことも読むことも、信仰のようだなと思う

わたしは宗教をもたないせいで本を開くのかもしれないと

すばらしいグラフィックの本に囲まれて、詩集なんかを夢中で読んでしまう自分がおかしい

 

文字というものの、他者に語りかける力の弱さといったらない

それでも書くことは、強いだろうか

文字というものを、読むことは疲れると知っていてそれでも文字を追う

それはいったい、何を求めてだろうか

 

ゆるしたくて書くのかもしれないと思った

ふいにそう思った

こじれてしまった糸が日常には無数に散らばっていて、

それを解きほぐしたいから書くのかもしれないと

何を怒ってこだわっているのかわからなくなってしまったことが、山のようにあって

それをつまびらかにすることでゆるしたいのだと思った

 

以前友人に、「きみの怒りは大抵、最後の一撃だからよくない」とたしなめられたことがある

それ以来、怒りというのはお別れの合図のように思っていたのだけど、違うなと思った

怒ることは執着だ

 

おなかの中に火を飼っていて、いつもはそいつとうまくやれているんだけど、

ふとした瞬間、理性とか空気とか、そういうものを全部燃やしていってしまうんだ

みんなあきれながら、ゆるしてくれるけど、できればこういうのはやめたい

誰だって、火傷するのは痛いだろう

 

 

きょうはひな祭りだから、どうしても甘酒が飲みたくって、走ってコンビニまで行った

走ったのなんかひさしぶりだった

吐いた息がゆらゆらとのぼるのを見ながら考えた

わたしたちの正義について、わたしたちの美徳について、わたしたちの幸福について

嫌なニュースばかり転がってて、未解決の問題はまだまだたくさんあって、

それでもなんかつくろうとして、頑張ったってまだ、ゴミしかつくれないけど

みんな、幸せになることから逃げるなよって

そればかり思う

永遠に読まれることのない書物を、書くような思いで