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冬のなごり

わたしに春を教えてくれるのはいつも、桃色ではなくて黄色だ。

雪の重みに崩れそうになりながら咲く、山吹の花を見ていたら、ふいにそう思った。

実家の近くの土手に咲く黄色い花。あの花の名前をずっと、知らずにいたっけ。

花の名前というのは不思議で、覚えると途端に、その姿形までもが慕わしく思えてくる。

可憐だよね。椿、梅、さくら、たんぽぽ、それからチューリップ、スイートピー

山吹の隣りには八重桜の木が植えられていて、あの激しい桃色が枯れるを見ると、

いよいよ春も終わりかなと、よく思ったよ。だから、春の終わりは燃えるような桃色。

 

春という新しい季節への期待というよりは、冬という季節が終わっていく感傷がある。

まだ、気が早いかな。でもふしぎと、今日はそういう風に思えた。

なんだろう。今まであまり意識してこなかったきもち。すこしだけ、焦りにも似ている。