悪癖

ため息をつくのは、幸せが逃げたせいじゃない。

急に春めいた空気に居心地がわるくなる。

べつに春はきらいじゃないけど、今年はまだ一度も雪を見ていないから、

このまま冬が終わってしまったら、

もう2度と冬のうつくしさを思いだせなくなるような気がして、損をした気もちになる。

(そんなわたしの焦りに反して、風は華やぐ。)

 

 

 

うつくしい舌打ちをするひとを知っているから、

「みんなが実はやめてほしいと思ってる癖特集」みたいなのを見かけると辟易する。

そういうのを見ると、舌打ち、ため息、びんぼう揺すり などがあげられている。

そういうものを書いたり読んだりすることで、賢くなったような気分になるのはよくない。

 

喫煙に関してもそう思う。

わたしはぜん息持ちだから、その場で吸われるとどうしても咳が出てしまうのだけど、

昨今の喫煙者の迫害されようを見ていると、

みんな煙草アレルギーにでもなってしまったみたいでへんだ。

東京に住んでいるだけで事故や事件に巻きこまれる確立は格段にあがるし、

ケムリ吸ったって吸わなくたって、ひとはいつかは死ぬし、

そんなに神経質にならなくたっていいのに。

何より、いびつな習慣のひとつやふたつ、あったほうがおもしろいと思う。