すこしの庭

ハヤシライスと味噌汁以外のものをつくろうと思って、カレーをつくった。なんでまちがえてしまうんだ。 冷蔵庫の野菜室に、今、トマトと茄子とピーマンとキュウリが入っている。先日、母が泊まりにきたときに、庭で採れた夏野菜を持ってきてくれたのだ。この…

夢日記

前職でかじっていた活版印刷を、仕事としてもう少し続けたいという気持ちがあって、この1ヶ月あがいてみたけれど、どうもそれは難しいということがわかった。とにかく求人がない。あっても遠い。おまけに言うと給料が低い。違う職種にあれこれと応募して、…

夏休みが終わらない

8時に目がさめて、「まだ寝ていてもいい」と気づく。そんな生活に、ようやくすこし慣れ始める。私は二度寝って大好きだ。もう誰のことも怒らなくていいのだと安心するには、まだ数々の手続きが終わっておらず、時間があればなんでもできると割り切るには、…

6月のクリスマス

数えきれないくらいたくさんのお菓子と花束をもらって、ほろ酔いで帰る。今日が最終出勤日で、はじめて上司と先輩と3人でお酒を飲んだ日だった。紙袋いっぱいに詰まったプレゼントを見て、「クリスマスみたい」と言ったのは先輩の声。まっすぐすぎる帰り道…

梅雨とコーヒー

黒い傘を持っていてよかったと思うのは、機嫌が悪いときだ。梅雨だけど、まともな傘を1本しか持っていないので、コンビニで買った折り畳み傘を毎日かわかして使っている。雨はどちらかというと好きなのだが、低気圧で体調が悪いのが困る。私はいつも、体調…

ボールは回ってきている

夕方、公園の近くを歩いていたときのことだ。バスケットボールが落ちていた。ふと左上を見上げると、目より高い位置に、水色のスニーカーが見える。生け垣の向こうの柵を、小学生らしき少年がよじ登ろうとしているところだった。反射的にボールをもつと、こ…

プードル

そうは言っても形にすることを生業としているので、毎日ピンセットで活字をつまむ。紙を出し、箔押し機のハンドルを回し、なんてことないアルファベットの煌めきを、120℃の熱を借りて印刷する。この指先への、抵抗を愛している。なんの意味もないのに、光っ…

願かけ

人に喋ってすっきりしたことは、大体うまくはいかないので、ほんとうに叶えたいことは黙っていないといけないのかもしれない。雨音がトトトトと続いていて、いい音楽だ。この部屋で迎える梅雨はそれほど悪くないかもしれないと思い直す。古い部屋を借りてい…

その気になったかい

私のことを好きだと言ってくれる人々にその理由を聞いて回り、ひとしきり否定したい。そんな帰り道がたまにあり、今夜がたまたまそれである。せめてヒステリーくらいヒステリックに起こしたいものだが、結局しないので、0時を以てヒステリー未遂となる。 夜…

たとえばちいさな白い紙のように

窓ほどもある、おおきな白い紙を、無心で名刺サイズに切り続けていたら、すこしだけ透明なきもちになれた。ゴツゴツしたカッターで切った、白い紙の、やや盛りあがった輪郭。直線はうつくしい。切ってしまったということの、このどうにもならなさが、たまら…

ゆるいしあわせ

なにか口にいれたいけど、ちょうどいいものが何も無い。グミとか、小さいカップラーメンとか、何か買っておけばよかった。いつも、そのときのきもちにぴったりする量しか買わないから、すこし足りなくなってしまう。 社長にたてついた結果、報復のようなクビ…

コールドスリープ

注いだばかりのオレンジジュースがぬるかったので、冷蔵庫が壊れていることに気づいた。いつから壊れていたんだろう。そういえば、このところよく唸っていたような気がする。冷凍庫はまだ動くから、冷凍食品だけで暮らそうかな、もう。あーでも、冷凍食品っ…

あなただけが地獄の入り口

年上女性の笑い皺が好きなんだけど、原田知世以外にも宮沢りえとか、いいよねー。皺のつきかたまでおしゃれで、憧れる。でもそういう人って少数派かな。私はきっと、最強のおばあちゃんになれると思うけどな。「若くてかわいい」そう言われるたびに、いつか…

チーズと牛乳とたまご

部屋の蛍光灯が点滅している。おかしいな、ちょっと前に交換したのに……。調べたら、点灯管というものを付け替えれば直るらしい。めんどくさいな。もう1こ間接照明あるし、これでいいかな。ほの暗いオレンジの灯りで、逆にいい暮らし感が出るし。あっ。前に…

また、人の傘に入って帰ってきてしまった。見慣れないピンク色の折り畳み傘が、台所にあって、そこだけちょっと明るいような気がする。私は傘をよく忘れる。この前も雨の予報の日に、「あー、傘、ないんですよね」職場で先輩にそう言うと、「貸そうか?」と…

ムーンライ

なんだか消え入りたくなるようなやさしい夜風。イヤフォンが壊れているから、風の音だって聞こえる。何もいらないなんて言ったらもう嘘になってしまうんだけど、何もいらない、そう言いたい。街路樹の隙間によく光る電灯あるわって、思ったら月だから笑っち…

冷や水よりもあたたかい

先日、ドイツにいる友人からLINEがあった。「シャワーから冷水が出る」「つらい」とあり、私はへらへら笑っていた。いらすとやでドラム缶風呂の画像を探して送った。今朝、シャワーを浴びようとしたら、ガスが故障していて水をかぶった。笑うな、と思った。…

白くてでかくてとてもかわいい

友人の友人から冷蔵庫をもらった。思っていた以上にでかくて、部屋に置いてもらってから、宅配のお兄さん達といっしょに笑ってしまった。「存在感ありますね!」と爽やかに言って去って行った。あ、どうしよ…。立ち尽くし、向きを変えたり本棚をロフトにあげ…

やさしさの前例

どうも春らしい。くちのなかがさっぱりしたいと言っていたので、レモンの入ったパスタを食べた。おいしい。いけないな。食べたいものを我慢できない。おいしいな。つかれたな。おいしくてうれしいのに、泣けてきた。 この前、隣りのお店の社長と口論になり、…

花の幽霊

昨年の春から写真を撮り始めた。ボタンを押せば撮れるインスタントカメラで。きっかけがどれだったのか明確にはわからないのだけど、バラ色の日々 というMVに使われている写真がたまに見たくなる。フィクションの優しさに支えられて過ごしてきたというのに、…

お祝い

結婚式にお呼ばれして行ってきた。新郎新婦とも大学時代の先輩後輩だったけど、おつきあいしていること自体を招待状で知り、見たときはへんな声が出たものだった。わたしに見えないところでいろんなことが起きてるんだなぁ。まだ親戚以外の結婚式というもの…

あかるい洞窟

夕方、天気を味わおうと思って玄関のドアを開けたら、想像以上の大雪だったので、パタリと閉じた。今月いっぱいは月曜が休みなので、ラッキーだったな。食べ物ないけど。お茶漬けでがまんする。なんだか、嵐って感じだ。ここが雪山の洞窟だったらよかったの…

約束する

私的な話をしてもいい人たちと久しぶりに会い、たましいの焦点のあわせかたみたいなのがよくわかんなくなってしまった。仕事をしていると自分のことを考えずに済むから、それはからだにとって、とてもいいことだと思うんだけど、おざなりにしすぎていると、…

ぜんぶ忘れてしまう気がする

手ぶくろをどこかに落とした。くたくたの、安物の、なんてことない手ぶくろだけど、母が買ってくれたものだった。なんだかさみしいなと思った。試しに片っぽだけはめてみる。それがほんとうなのに、裸の手はかっこわるい。そういえばこの前、風邪を引いてマ…

とっくに新年

しゃらくさい感傷的なオルゴールの音12月なんて今日で終わりにして1月だけ40日に引き延ばしてとっくに新年みたいに生きてもいいような気がするこんな白い真昼に誰かのためにいい買い物をして可愛い女の人の指できん色のリボンをかけてもらうのはなんだ…

星が見えてうれしい

どうしてオリオン座しか覚えていないのかくやしいくらいきれいな冬空 おでんを買って帰ろうかバナナを買って帰ろうかどちらも買わずに帰ろうか 考えている 両足はコンクリートを踏んでいる私の体は地上にあって 考えている 頭は明日の生活のことをそれなのに…

ひと晩中いっしょに起きていてもいいよ

あなたが生まれたとき太陽はどこにありましたか知っていることで便利になれることを僕たちはあまりにもたくさん知ってしまいましたからたまには意味のない質問が必要です 誕生日にロウソクを立てなくなった頃と自分の年齢がわからなくなった頃は同期している…

線になる夜

夜景って 星のことだと思ってた街の光をきれいだと思ったことなんて なかったから違いのわからない いくつものまぶしい点を写真に撮ろうとしているきみのこと何ひとつわからなかったけどふたつの人影が黒いガラスにうつっているのはそんなにわるくなかったよ…

わかってしまわないように

大学時代、卒業制作のときに苔を育てている友人がいて、よくわからないけどいいなと思っていた。そのことについて最近になってふれたら、本人も「なんであんなことしてたんだろう? ほんとうに意味がわからない……」と言っていて、やっぱり意味はわからないの…

きみの頭はいつもおかしい

今週のお題「私の癒やし」 日曜日の長さに耐えきれないならいろはす買って公園にでも行こうか間違ってもどうでもいい映画に行こうと誘われて頭をおかしくされないように パンもコートもいらないくらい綺麗な石を拾いに行きたいいつになく静かな気分だこんな…