ねむれないのはよくないらしい

午後1時、カーテンを一枚だけ開けて、おもちゃみたいなシベリアを食べる。昨日、谷中のちいさいパン屋さんで買った。トートバッグにいれっぱなしにして、忘れていた。おいしい。上司に愛想を尽かし、ついでに病気になったので仕事を辞めたのだが、すること…

きみのとうふのたましいを

今日は北区の図書館に行って来た。無職だった秋に都内の図書館を観光していたんだけど、それを久しぶりに再開した形になる。この観光のいいところは、知らない町を歩けるという点だ。図書館というのは基本的に駅からそれなりに離れたところにあるから。私は…

やわらかい月曜日

冬の日のいいお天気って、なんてすがすがしいんだろう。ずっとこんな青空なら、ずっとこんな分厚いセーターで、肩をとがらせていたって構わない。人の家から出て、言葉少なにぼんやりと歩いている、そんな自分がすこし不思議だった。昨日は、以前の職場の先…

ポーズ

帰省したとき、家族と初詣に行けなかったので、ひとりで浅草寺まで行ったのだけど、さみしすぎて死ぬかと思った。初詣というのは、人と行くからいいのだな。というより、人とできることの一つとして、初詣がすきだったのだ、きっと。人混みが過ぎて、しばし…

風にアルコール

誰も隣りに立っていなくてきもちいい。 駅前。厚着した人間達の背中。たこ焼きを買うために並ぶ家族。花屋の店先が、いつの間にか和風になっていて、年末だなと思う。立ち止まって、何か買うか迷う。買わない。昨日のお酒がたぶん身体のどこかに残っていて、…

銀のハートマーク

今日は予定もないから、小さな銀のハートマークを、てのひらの上でころころ転がしている。中になにか入っていて、揺らすと低い綺麗な響きがする。こういうのも鈴って呼ぶのかな。昨日会った友人に、クリスマスプレゼントでもらった。他にもお茶とかカードケ…

この静けさには安心がない

最近の日記を読み返したら「疲れた」とばかり書いてあって、すこし情けなくなった。きょうは特につかれていない。たださむいね。泣きそうだ。 起きているといろんなことを、ひざだけコタツにいれてすこしずつすこしずつ考えようとするんだけど、染色体みたい…

いっしょになれはしないのに

いろんなことに疲れきっていてどうしたらいいのかわかんない。やりたいことはあるんだけど、どこから手をつけたらいいのか整理なんてつかないから、とりあえずトーストを焼いたりシャツを干したりしているうちにくたびれて眠ってしまう。焦りばかりが先走っ…

あたま

朝のひかりのつめたさに頭痛がする。目を細めてもじゅうぶんに明るいのに、11月の朝7時過ぎを歩くには、この上着はもう軽すぎたみたいだ。薄いむらさき色のコートの前をあわせて、深呼吸する。このコートは私にあまり似合っていないけど、まるでいつか見…

冬の終わりとはじまり

徹夜して美容院に行った。40分くらいバスに揺られる予定があったから、アップルミュージックをいじくり回していたんだけど、秋の午前中に似合う曲がわからなくて、あんまり冴えなかった。頭がぼんやりしていて、美容院の鏡にうつってる自分の目がなんだか弱…

ひかりに疲れても

ひとりでいることにつかれちゃって、夕方のコメダ珈琲でぼんやりしてたら、LINEにメッセージがきた。正直ほっとした。iPhoneの振動は動物の身震いみたいで好きだな。8年間同じガラケーを使っていたときは、意地でもLINEなんかしないって突っぱねてたのに、…

海のむこう

夜中にエッフェル塔の写真が届く。指先でズームする。フランスにいる先輩と、交換日記のように時差のあるLINEのやりとりを続けているんだけど、これがなんだかとても楽しい。なぜフランス人はフランスパンを剥き出しで持ち歩くのか、という考察が名文なので…

覚えている

連休中は祖母の3回忌があり、実家に帰省した。前日、末の弟がピアノを教えてほしいとせがむので、途中まで読みを書いてあるジムノペディの楽譜を渡して、ピアノで遊んでいた。そういえば今までも何度か頼まれて、その度冴えない返事をしてうやむやにしてい…

乳白色のはだか

明け方の5時、寝つけなくてゴロゴロしていたら、フランスにいる先輩からセーヌ川の写真が送られてきた。美術館の絵で見たことがある景色のような気がするなあと思った。「フランス人がフランスパンをむきだしで持ち歩いてるところを目撃したら、私に教えて…

同盟サイト/やわらかい椅子

台風なのにコロッケを買うのまた忘れちゃった。台風の日にコロッケを買う文化を知ったの、私は最近なんだけど、みんなやったことあるのかな。小学5年生くらいからパソコンで遊んでるけど、知らない慣習が多くてびっくりする。インターネットの匿名性がもっ…

好きな人をこの手で守れたら

ハイビスカスティーをいれている。すっぱくて、いいにおい。台風の夜にうってつけという気がする。これは誕生日プレゼントに、ってこの前会ったひとがくれたものなのだけど、誕生日プレゼントにハイビスカスティーをくれるって、なに? そんな素敵なこと、私…

すこしの庭

ハヤシライスと味噌汁以外のものをつくろうと思って、カレーをつくった。なんでまちがえてしまうんだ。 冷蔵庫の野菜室に、今、トマトと茄子とピーマンとキュウリが入っている。先日、母が泊まりにきたときに、庭で採れた夏野菜を持ってきてくれたのだ。この…

夢日記

前職でかじっていた活版印刷を、仕事としてもう少し続けたいという気持ちがあって、この1ヶ月あがいてみたけれど、どうもそれは難しいということがわかった。とにかく求人がない。あっても遠い。おまけに言うと給料が低い。違う職種にあれこれと応募して、…

夏休みが終わらない

8時に目がさめて、「まだ寝ていてもいい」と気づく。そんな生活に、ようやくすこし慣れ始める。私は二度寝って大好きだ。もう誰のことも怒らなくていいのだと安心するには、まだ数々の手続きが終わっておらず、時間があればなんでもできると割り切るには、…

6月のクリスマス

数えきれないくらいたくさんのお菓子と花束をもらって、ほろ酔いで帰る。今日が最終出勤日で、はじめて上司と先輩と3人でお酒を飲んだ日だった。紙袋いっぱいに詰まったプレゼントを見て、「クリスマスみたい」と言ったのは先輩の声。まっすぐすぎる帰り道…

梅雨とコーヒー

黒い傘を持っていてよかったと思うのは、機嫌が悪いときだ。梅雨だけど、まともな傘を1本しか持っていないので、コンビニで買った折り畳み傘を毎日かわかして使っている。雨はどちらかというと好きなのだが、低気圧で体調が悪いのが困る。私はいつも、体調…

ボールは回ってきている

夕方、公園の近くを歩いていたときのことだ。バスケットボールが落ちていた。ふと左上を見上げると、目より高い位置に、水色のスニーカーが見える。生け垣の向こうの柵を、小学生らしき少年がよじ登ろうとしているところだった。反射的にボールをもつと、こ…

プードル

そうは言っても形にすることを生業としているので、毎日ピンセットで活字をつまむ。紙を出し、箔押し機のハンドルを回し、なんてことないアルファベットの煌めきを、120℃の熱を借りて印刷する。この指先への、抵抗を愛している。なんの意味もないのに、光っ…

願かけ

人に喋ってすっきりしたことは、大体うまくはいかないので、ほんとうに叶えたいことは黙っていないといけないのかもしれない。雨音がトトトトと続いていて、いい音楽だ。この部屋で迎える梅雨はそれほど悪くないかもしれないと思い直す。古い部屋を借りてい…

その気になったかい

私のことを好きだと言ってくれる人々にその理由を聞いて回り、ひとしきり否定したい。そんな帰り道がたまにあり、今夜がたまたまそれである。せめてヒステリーくらいヒステリックに起こしたいものだが、結局しないので、0時を以てヒステリー未遂となる。 夜…

たとえばちいさな白い紙のように

窓ほどもある、おおきな白い紙を、無心で名刺サイズに切り続けていたら、すこしだけ透明なきもちになれた。ゴツゴツしたカッターで切った、白い紙の、やや盛りあがった輪郭。直線はうつくしい。切ってしまったということの、このどうにもならなさが、たまら…

ゆるいしあわせ

なにか口にいれたいけど、ちょうどいいものが何も無い。グミとか、小さいカップラーメンとか、何か買っておけばよかった。いつも、そのときのきもちにぴったりする量しか買わないから、すこし足りなくなってしまう。 社長にたてついた結果、報復のようなクビ…

コールドスリープ

注いだばかりのオレンジジュースがぬるかったので、冷蔵庫が壊れていることに気づいた。いつから壊れていたんだろう。そういえば、このところよく唸っていたような気がする。冷凍庫はまだ動くから、冷凍食品だけで暮らそうかな、もう。あーでも、冷凍食品っ…

あなただけが地獄の入り口

年上女性の笑い皺が好きなんだけど、原田知世以外にも宮沢りえとか、いいよねー。皺のつきかたまでおしゃれで、憧れる。でもそういう人って少数派かな。私はきっと、最強のおばあちゃんになれると思うけどな。「若くてかわいい」そう言われるたびに、いつか…

チーズと牛乳とたまご

部屋の蛍光灯が点滅している。おかしいな、ちょっと前に交換したのに……。調べたら、点灯管というものを付け替えれば直るらしい。めんどくさいな。もう1こ間接照明あるし、これでいいかな。ほの暗いオレンジの灯りで、逆にいい暮らし感が出るし。あっ。前に…